ブログ・コラム
Pocket

 

喜ばれる

素材4

—————————————————————————————————————————

新聞掲載

 

——————————————————————————————————————————-

初めまして! Slow life オーナーパティシエの北川雄一と言います。

当店は山梨素材を取り入れたケーキやマカロンを提供する甲府市にある製造スタッフ2名の小さなケーキ屋です

 全ての商品にくまなく山梨素材を取り入れている!と言うほどではないのですが特産品に限っては積極的に洋菓子に応用しております。

桃、ブドウ、柚子、とうもろこし、鳴沢菜、ブルーベリー、ラズベリー、お茶、etc… それらを県内の加工業者、あるいは自家製で加工し様々な形でマカロンに応用しています!

 もちろんそれだけじゃなく、素材、製法にも自分の考えに妥協はせず取り組んでいます。

そんな当店のマカロンを食べて下さったお客様からは

「今まで食べてきたマカロンと全然違う!」

「東京でこれよりもずっと小さくてこれよりも高いマカロンがあったけど、こっちのが美味しい!」

といった有難いお言葉を頂いております。

何故「マカロンって高い!」と思ってる人が多いのにここまでの評価を頂けたのか。少しでも興味が湧いた方はしばしのお時間ですが最後までお付き合いして頂けたらうれしく思います。

 

突然ですがマカロンに対してこんなイメージをもっていませんか??

 小さいのに高い。

■ 甘すぎる

 そもそもそんなに美味しくない

 こんなのが人気あるの?

■ マカロンって作るのが難しいの?

 甘い物そんな好きじゃないからマカロンはちょっと・・・

 有名店のマカロンを食べたけどあまり感動が無かった

■ マカロンの「美味しい、不味い」がそもそもそんなに分からない。

 

上記のうち1つでも当てはまるのなら当店のマカロンはきっとあなたのイメージを覆すことでしょう。

というのも以前までは私も同じようなイメージをずっと抱えていたからです。

東京のとある有名店で初めてマカロンを食べた時には全く感動も無く「どうしてコレがここまで人気があるのか分からない」とまで思っていたほどです。

ですから自分の店を出した時もマカロンをあまり重要視していませんでした。 でも人気は高いので売れてくれるのです。そこでせっかくお客さんが買ってくれるのだから。と思い自分なりの「美味しいマカロン」を作ることにしました。

 

理想のマカロンとは何か? その答えが自分に無ければ何をしても同じこと。 毎日の仕事の中で「理想」を少しずつ形作り試行錯誤しながら書き換えたレシピは数百回にも及びます。

 

それ故に失敗した回数なら誰よりも多い自信があります。

 

そしてこの失敗を繰り返した経験こそが私の自信でもあります。 どこをどのようにしたらどうなるのか。 およそ考えうる失敗を片っ端からやってきました。 その繰り返しから自分の理想が出来あがっていたのです。

少々長いのですが順を追ってマカロンの理想について説明していきます。

最後まで付き合って頂けたら幸いです。

素材1

1.アーモンドの品質には妥協しない。

 

マカロンを選ぶ時に最も重要視していることは何でしょうか?

レモンやチョコなどの味の種類?
値段?
見た目?

基準も様々ですが最も土台となる味を築くアーモンドを重要視する人はほとんどいないのではないでしょうか。

実はこのアーモンドの味がしっかりしていないと、どんなに美味しいクリームをサンドしても全体の味を活かしきれない味わいになってしまいます。

c0220724_21412589

写真左 : 国内で最も多く出回っているカリフォルニア産ノルバレン種のアーモンド

写真右 : 小売ではなかなか手に入らないスペイン産マルコナ種のアーモンド

 ▼カリフォルニア産と比べて何が違うのか?▼

 

素材2

またその豊かな油脂分にも特徴がありアーモンドなのにジューシーな味さえ感じるほどです。 スペインの豊かな土壌と気候がこの味を生み出しています。

このマルコナ種のアーモンドがマカロン1個に対してどれくらい使われているのか?というとマカロン1個に対しておよそ5g(=5粒分くらい)です。

 それだけでそんなに味がするの? 

と思うかもしれませんが全体の味をまとめてくれる役割をしています。 味の強いクリームすらもしっかり受け止めてそれに負けないくらいの力強さがあります。 お寿司で言うところの「シャリ」のような存在でしょうか。

アーモンドの味がしっかりしていないと砂糖の味を受け止めきれず「ただ甘いだけのマカロン」となってしまいます。

それ故にとても大切な素材であり 「美味しいマカロン」の確固たる土台なのです。

ですがマルコナ種のアーモンドは希少でとても高価(カリフォルニア産の約2倍)なため、マルコナ種を使っている店舗はそれほど多くありません。 さらに扱っている貿易会社によって品質にも微妙に違いがあるため自分の嗜好に合った物を選ぶ判断力も必要となります。

私の店ではそのマルコナ種のアーモンドを100%使用しています。 原価対策のために他のアーモンドと混ぜるようなことも絶対にしません。

マカロンを食べる時はアーモンドの香りと味も意識してみると2倍楽しくなれますのでおススメです!

 

 

2、誰でも作れる訳ではない。

 

Slow lifeのマカロンはおいしいという自負があります。

ですが配合が特別だったり、特別な作り方をしている訳ではありません。 マカロン作りのプロセスは単調で、毎日毎日同じことを繰り返して生地を作る。

その作業もただこなそうと思えばいくらでも楽にできるけどもマカロンの生地はまるで生き物のように状態が変わる。 生地のデリケートなことと言ったらパティシエの機嫌がそのまま映るとすら思っているほどです。

マカロン作りの一番のコツは生地と心を砕いて付き合い、最大限に活かしてあげること。配合や作り方よりも生地の状態を理解して生地の気持ちをくみ取ること。これが一番だと思います。

それ故にマカロン作りは難易度が高い菓子です。

メレンゲの扱い方がとても繊細なのですが、当店の場合は食感を軽くしたいためにメレンゲ作りに使うグラニュー糖は少な目にしてあります。

そのためメレンゲが不安定なのでアーモンドパウダーや粉糖と混ぜ合わせる時に気をつけて混ぜ合わせないとすぐに生地がダレて使い物にならなくなってしまうのです。

ですから当店では経験や知識の浅いアルバイトには任せず、私ときちんと技術を持ったスタッフの2名で全てのマカロンを作り上げるのです。

これ故に1日のマカロン生産数が600~700個と少なくなってしまうのはご了承しいて頂きたいと思います。

そして私の作り上げたマカロンのレシピは当ホームページにて店で出している物そのものを公開中です。

これはお客様にマカロンに対して興味を持って頂きたいという目的と、ネットショップという特性上お客様に少しでも安心して購入して頂きたいという目的で公開に踏み切りました。

「レシピを真似されたりしないの?」と思うかもしれません。でも大丈夫です。

レシピを真似しただけでは全く同じものは作れない。 それがマカロンです。 

作り手がどんなマカロンを作りたいのか?それがハッキリしていないと同じレシピを使っても意味が半分になってしまいます。

マカロンショコラ4レシピの公開ページはこちら(▲画像をクリックしてください▲)

 さらにそれだけではなく、マカロンを作り始めた方や興味がある方にも便利な「どこよりも詳しいマカロン Q&A」ページまで作ってしまいました笑 

 マカロン作りによくある「何故、ここがこうなるの?」という点を科学的な観点からもアプローチしています。

マカロンショコラ3どこよりも詳しいマカロンQ&A(▲画像をクリックして下さい▲)

  これらは全て私の数多の失敗から成り立ったマカロンに対する考えでもあります。この先もまた様々な影響を受けてレシピが変わるかもしれません。でもその時はこのレシピのページも変わっていきます。 少しでもマカロンに対して興味を持って頂けたらなと思います。

 

 

 3、クリームとの相性に気を遣う

 

マカロンにサンドするクリームは当店では以下の3種類のうちどれか、あるいは組み合わせて使っています。

1.バタークリーム

2.ガナッシュ(生チョコ)

3.ジャム

この中でも特にバタークリームは種類も多く汎用性も高いとこから当店では積極的に取り入れています。

ただやはりどうしてもバターの特性上温度によってはダレやすいため夏場などはクリームが半分溶けて食感を損なってしまうこともあります。

これは完全には解消は難しいのですが当店では「低水分バター」を使用することによりダレにくいクリームを開発しました。

普通のバターに比べて粘りのある固さがあり、マカロンの生地同士をくっつけるセット力にも優れています。 

同じ温度(室温20度)に置いておいた通常のバターと比べてもその差は歴然です。 また味の面でも優れており香りや味に対する評価も文句なしです。

当店ではこの低水分バターを100%使用することによりバターの豊かな味わいと保形性の良さを確立しました。しかしやはりバターであることに違いはないため気温が高い日中での持ち運びには十分お気を付け下さい。

またクリームもたっぷりとサンドすることにより1個でも満足感を得られるように配慮しました。 

マカロン断面

 次に大きさ。 マカロンは小さい!という印象を少しでも解消しようと当店ではやや大き目に作っています。

そして断面からもみてとれるように目が粗いのが特徴です。

これはしっかりと限界まで粗く立てたメレンゲから作るからでありこれにより軽い食感を生み出します。そしてこの軽さがクリームとの相性をよりよくしてくれるのです。

生地は軽く、クリームはしっかり、たっぷりと。このコントラストが美味しさです。

 

 

4.細かい仕込みを可能にしたスーパーマシン

マカロンを常時15種類並べている個人店のケーキ屋さんは山梨には当店以外にありません。マカロン作りの作業自体はシンプルなのですがクリームを作ってサンドする分工程が多く手間がかかるためです。

特にマカロン生地を天板に絞ってからしばらく乾かすのですが、この乾かす作業が梅雨だと4時間くらいかかることもあり厨房において非常に負担となってしまいます。

これらを解消し、細かい仕込みを可能にしたのがFMIの急速冷凍庫「マルチフレッシュ」になります。

(操作パネルがタッチ式になり、より製菓に特化したバージョンは当店のものが日本で初号機だそうです。)

通常の急速冷凍機能に加え、85度までの加熱機能を搭載。しかも1度単位の微調整も可能で中でファンが回り空気が循環するシステムです。

IMG_6837

マカロンの乾燥に使うのはこの加熱機能で、卵白が凝固しない50度に設定しておけば50度の温風をくまなく循環させマカロン表面を乾かしてくれるのです。

これにより数時間かかっていた乾かす作業がわずか40分で可能になり生地への悪影響もありません。

このマルチフレッシュの導入により細かい仕込みも可能になり「1度に大量に作ってストックしておく」ことも解消され、少量を回転良く提供することでより鮮度の良い商品を提供できるようになりました。

さらにこの加熱機能を応用することにより自家製素材も加工できるようになりました。

山梨県の特産品であるゆずを例に言うと、ゆずの皮を約65度で10時間乾燥させます。

フリーズドライではなくナチュラルドライのため素材の細胞壁も壊しません。(フリーズドライは凍らせるため水分が膨張して細胞壁を壊してしまう)

ゆず

ゆず2

 

ゆず3

それにより素材の良さを損なわず十分に特徴を活かしたゆずパウダーを加工することができました。 このパウダーをマカロンの生地に練り込み、さらに柚子の実からとったゆず果汁でバタークリームを作る。

こうすることで柚子の存在感がとても強いマカロンが作られます。

この技術を応用して様々な素材をパウダーにしたり、ドライフルーツにすることも可能になり「ここだけにしかない素材」を存分に発揮できるようになりました。

—————————————————————————————————————————-

贈り物でマカロンを選ぶと非常に喜ばれます。その反応は贈った側も嬉しくなってしまう程です。でもこれは「マカロンだから」喜んでいるという面も0ではありません。

それを「美味しいから喜んでもらえる」贈り物にするのが私の仕事でもあります。

クオリティは都心の有名店にも全くひけをとりません。むしろ個人店である故に深くこだわっている自負もあります。

・スペイン産の最高品質アーモンドのみを使い

・山梨の特産品を自家製で加工し

・マカロンは大きく、クリームはたっぷりサンドして

・製造ラインに頼らず職人のみが手作りで作り上げ

・製品はすべて個包装をしております。

ここまで手間をかけても当店のショーケースに並んでいる商品は東京の有名店よりもずっとお手頃価格です。 これはマカロンのあるべき価格設定であると思います。

マカロンは価格設定が高くても売れるから自然と価格設定が高いまま普及してしまった。それも事実です。その価格故に食べる人を選ぶ菓子になってしまう面もあり、大手メーカーがマカロン作りに参入するもコストダウンやラインに頼る製造方法から「マカロンっておいしくない」と思われてしまう遠因にもなった面もあります。

ちゃんと作ればマカロンは美味しいんです。

 

ここまで読んで頂き本当にありがとうございます! ほとんどが自己満足のページだったかもしれません。私でもそれは感じています。私は「売れて欲しい!」とは思っていませんが「喜んでほしい!」とは切に願っています。

ここまでこだわった当店のマカロンは「すごく美味しい!」と思う人もいれば 「そうでもなくない?」と思う人もいる。マカロンとはそんな食べ物だとも思います。

それでもインターネットでここまで来てくれた方、しかもここまでこんな自己満足の長文を読んで頂けた方、そんなあなたにこそ私は食べて頂きたい。

マカロンはあくまで嗜好品です。 ご飯やコーヒーのように毎日食べることも無い食べ物かもしれません。

ですがそんなマカロンでもわずかですがあなたの人生を豊かにしてくれる。そう信じています。

コメントは利用できません。